生産技術職はスキルが身につかないって本当か?
こんな疑問に生産技術職の筆者がお答えします!
それではレッツゴー!
そもそも生産技術って何をするのか?
生産技術は,製品を製造するための生産ライン(生産設備)を構築する仕事です.
下記記事で紹介していますので,是非読んでみてください!
身に付くスキル
生産技術は,生産するための環境・設備を構築する社内のコーディネーターです.目的達成に必要なこと全てを実行する部隊になりますので,幅広いスキルが身に付きます.
生産技術職で,スキルが身に付かないと言っている方は,異業種への転職を考えている方で,転職先で求められる別スキルが身に付かないとおっしゃっている可能性もあります.例えば,生産技術職からデータサイエンティスト職のような別の専門職の募集に対して合格するか,と言われると,それは難しいのではと思います.
また社内調整が主な仕事でこの会社でしか使えないスキルという方もおられると思いますが,社内調整も,様々ある業務の中で必須の業務です.社内であっても利害関係のある複数部署で仕事はしますので,それらをまとめて成功までリードする能力が求められます.そしてこの業務は,社会のあらゆる場面で必要になるものです.
- 家庭の中ですら,晩ご飯何食べるかで調整しますよね
- 小学校のPTAも,意見を纏めて決めていく作業はありますよね
- 総理大臣でも様々な団体との折衝作業あります
世の中,一人で生きている訳ではないので,この調整業務は避けて通れません.逆に『フィクサー』という言葉もありますので,自分の会社のフィクサーになるくらいの気持ちでやりましょう.そしてそれがうまい人は,やはり自然と出世していきます(筆者はもくもくとプログラム書いていたい人です)
ですから,社内調整業務は,どこにいっても存在しますので,調整業務がメインと言うのは,本当にそれしかやっていないの?と言いたくなります(リーダなど管理職ならそうかもしれませんが)
社内調整業務も重要なスキルですが,生産技術は,昨今,スマートファクトリーやDXなどのワードも流行(すぐに廃れるが)し,IT活用等さらにやることが増加しており,身に付くスキルの幅は更に広がっています.
専門技術
・工程設計
- 生産ラインのレイアウト設計,生産ラインが出力する必要な能力設計
- 製造する製品の特性に合わせた,ライン機能設計
- 物流,人の配置,動線設計(注文住宅の設計みたいですね)
- 事業が成立するかの検証(製造原価と製品販売価格から):フィージビリティスタディ
・機械/メカ
- 設備設計,治具設計,製図
- 二次元CAD,三次元CAD
- ロボット
- 旋盤などでの機械加工
・電気/ソフト
- 設備を動かすための制御盤設計,配線設計
- 二次元CAD
- ロボット制御
- PLC(制御コントローラ)の制御ロジック設計,ラダープログラム製作,テスト
- 生産シミュレーション
・システム
- ネットワーク設計
- サーバ(オンプレ/クラウド)設計,冗長化設計
- システム設計(生産管理/トレーサビリティなど)
- ITスキル全般(OS,データベース,Web,プログラムミング,など)
・建屋/ユーティリティ
- 建屋設計
- 受配電設計,水,圧空設備設計
- クリーンルーム設計
・管理業務/設備メーカー管理
- 設備メーカーへの設備製作依頼~納品,工場への設置までのスケジュール管理
- 納品までに,中間立ち合い,最終立ち合いをして仕様通りに出来がっているかの確認
- 工場へ設置し,試運転をして仕様通りの出力ができるかの確認
・ドキュメント作成
- 完成図書の作成(計画書,設計書,試験結果書,マニュアル,保守手順などの作成)
- PorsCons表(複数案がある場合の比較表:星取表)
- 工程表,課題管理表
- 仕様書と費用積算書
・その他
- 画像処理,ロボットなど様々な制御機器の操作スキル
- 導入先への技術指導(操作教育,保全教育など)
- 見積書の査定(見積書の金額が妥当か,自分でも見積もりし検証)
- 海外駐在時の外国語習得
プロジェクトマネジメント
- ゴール設計,コンセプト設計,プロジェクト体制設計,役割分担設計,予算措置,など
- 進捗管理,課題整理、課題への対応方法
- トラブル発生時のリカバリ対応
- 各種窓口対応,調整業務
DX
- 製造DXなど,業務革新のために何をやるか決める(コンサル側でやるより内側にいた方がよい)
- 手段としての,データ収集基盤,データ活用基盤構築など最新IT技術の活用
- 機械学習,AI技術,AR技術
生産設備はほとんど特注品
設備というものは,特注して調達することがほとんどです.それは製造する製品の特性によって,例えば,同じコンベアでも求めらる仕様が全然異なるからです.車を購入する時のように,カタログから車種を選んで,欲しいオプションを追加で選ぶようなものとは全く違います.
製品の生産プロセス理解
ざっと生産技術で身に付くスキルを挙げましたが,これらを基本にして生産ラインの生産プロセス(工程)の知識も必須になります.
例えば,曲面形状の製品に対して,バーコードを印刷しようとした時に,どのような方法で印刷すればよいか(インクジェットや版,スプレー,レーザなど),印刷の厚み,印刷速度はどれくらいあれば連続的に製品を処理できるか,印刷後の乾燥はどうするのか,など生産ラインの諸元にマッチする方法を考えます.
この作業は,当然プロセスが変われば,また全く違うアプローチで考える必要があり,生産技術では,どのプロセスをやったことあるかで,身に付くスキルも変わってきます.
従って,生産技術をやっていると,同じ生産ライン構築する業務だが,経験したことないプロセス・設備を担当するたびに,新しい知識が必要になり,多様なスキルが身に付きます.
投資執行する生産技術は面白い
生産技術は,投資を伴う業務が通常ですから,技術的なスキルはもちろんですが,お金の知識も自然と身に付きます.投資可否判断だったり,プロジェクト管理業務だったり,事業として成立させるための必要業務を全て実施しますので,経営にも興味がある方は向いているのではないでしょうか.
会社によって,生産技術に重きをおいている会社と,そうでない会社がありますので,生産技術やりたいという方は,ぜひ生産技術を重視している会社を選ばれるのがよいと思います.
どのような業種が重きを置いているかは,その会社に聞いてみないと分からないですが(皆重要と言うと思いますが),装置産業である業種は重きを置いていると思います.逆に製品自体が強い業種,例えば薬品のような業種だと,製品開発の方に重きを置いていると考えられますが,そこで働いている社員の方に確認する以外は分かりません.
いずれにしても,生産技術は,どの製造業でもある部署であり,同じ社内であっても違う事業向けの生産ラインは,別物ですので,別会社向けの生産技術の対応しているのと変わらないです.つまり,生産技術は,自社でそれなりにスキルを身につけておけば,他社でも十分に力を発揮できるということです.
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