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50_005_生産技術のスキルマップ

50_生産技術
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こぼうず:
こぼうず:

生産技術職は,どのようなスキルが重要ですか?

 こんな疑問に,生産技術職の筆者がお答えします!

 様々な技術に触れる生産技術ですが,扱う機器や設備設計の個別スキルはここでは置いておいて,10年後も使える普遍的なベーススキル5つについてご紹介したいと思ます.

 どこにでもあるようなワードになりがちですが,結局本質はここで,人はここから能力を判断します.面接時もここを見る.逆に言えば,個別の技術的なスキルは後から覚えればOKということですね.

普遍的なベーススキル
  • 抽象化力と具現化力
  • プレゼンテーション能力
  • ファシリテーション能力
  • プログラミング力,及びプログラミング的思考力
  • 英語力

それではレッツゴー!

抽象化力と具現化力

抽象化力

 抽象化思考とは,物事を抽象化して考えることで本質を捉える考え方です.ものごとの全体感を捉え,扱っている問題がどのような特性もっており,全体感の中でどのような位置づけになるか.

 抽象化思考により,重要な情報だけをピックアップできるため、本質を見抜くことができます.具体的な事象群から,共通の要素を見つけて,ひとつの概念にまとめます.

 ひとつの物事をさまざまな切り口から柔軟に捉えることで,一見すると関係がないようなふたつの物事から関連性を見つけ出し,結びつけて考えることで,多角的なアイデアを生み出せるようになります.

 生産技術は,設計の自由度が結構高いこともあり(法律的な縛り少ない),自由な仕掛けを,自由なアイディアで実現することができます.生産現場にある様々な問題・課題に対して,この抽象化力があると解決する糸口を見つけやすくなり,より一層活躍することが期待できます.

 (抽象化力(思考)について,学びたい場合は,以下を参考にどうぞ!)

具現化力

 一方で,生産技術は具体的なモノをつくる仕事です.抽象化力だけであればよくビジネス書やサイトに記載されていますが,生産技術ではものづくりをしますので,最後は具体的な内容に落とし込んでいく必要があります.

 具現化とは,抽象的で漠然とした物事を”はっきりとした形”にすることです.
抽象的な法則や傾向などをもとに,アウトプットを生み出すための力になります.

 具現化とは実はかなり難しい作業です.モノがなぜそのような形しているのか,なぜこのような仕組みになっているのか,それぞれちゃんとした理由・ポリシーがあります.リバースエンジニアリングという言葉があるように,自分にとってよく分からないものは,分解し,構造を確認します.そしてその理由・背景を考察したり調べたりします.

 いろいろな事が考えられた結果,こうなっているということに気づくと思います.何が言いたいかというと,モノ1つつくるにも,膨大なことが考えられているということです.具現化するということはそれだけ大変な作業です.

 高学歴は,抽象化力が重要だという言われることがありますが,具現化力も同じだけ重要です.問題提起だけして,具体的な対応策が言えない(分からないから)人が,結構会社にはいるのではないでしょうか?

 具現化力の高い人財は,かなり重宝されます.その方のアイディア(組み合わせ等も含む)により実際に問題を解決できる能力があるためです.逆に抽象的なことばかり言っている人は,本質は捉えているのかもしれませんが解決策がないので結果アウトプットなしです.生産技術のアウトプットは生産性,採算性です.最も分かりやすい指標です.役割分担(リーダ:抽象化担当,と,部下:具現化担当)だと言う方もいますが,役割分担できていればよいですが,ここで言いたいことは,生産技術職ならば具現化力も非常に重要だということです.

プレゼンテーション能力

 生産技術で,なぜプレゼンテーション能力が必要か.仕事というものは関係者と,すり合わせして合意した上で進めるからです.極端な話,関係者やお客様が合意するのであれば,工程遅延,予算オーバーもOKとういことです(実際は採算もあるのでOKとはならないことがほとんどです).特に生産技術は,関わる部署が多方面に渡ります.

  • お客様である自社の事業部門への生産ラインの提案(コスト,納期,仕様など)
  • お客様である自社の製造部門への設備説明,使い勝手性説明
  • 設備設計時の生産技術内での議論(機械,電気,制御,システムメンバー間の合意)
  • 設備改善時の改善点の提案(メリット,デメリット,コスト,納期,設備停止影響など)
  • 設備メーカーへの仕様提示,コスト削減案
  • 社内への成果報告
  • 社内での課題報告

 更に,プレゼンする情報が,一次情報(生情報)なのか二次情報(個人的主観が入った加工後情報)なのかも明示することが重要です.二次情報の場合,プレゼン者のバイアス(希望)がかかっている可能があるため,一次情報(実態,事実)もしっかり説明する必要があります.

ファシリテーション能力

ファシリテーション

 ファシリテーションスキルとは,会議などでスムーズに進行を促すスキルのことです.参加者の意見を引き出し,議論を活発化させ,最終的に参加者からの合意形成を図ります.ファシリテーションスキルを発揮し,会議を進行する役割を担う人をファシリテーターと言います.

 こちらは,仕事をしながらスキルを身に付けていくことが多いと思いますが,苦手意識をもつ方が多いのではないでしょうか?(筆者も苦手意識があります)

 声が大きい人が強い,どの組織体でもそうだと思います.会議で積極的に発言する人,あまり積極的に発言しない人,様々いると思います.何もしなければ積極的に発言する人たちだけで議論が進みます.よく会議で発言しないのであれば出席する意味がないと聞きますが,筆者はそうは思いません.性格もあると思いますので全員が全員積極的に発言する人の会議体は存在しないです.では,あまり積極的に発言しない人が,その会議に対してやる気がないのかというとそうではないです.手を挙げて目立ったわりに,大したことが言えない,だったり的外れなことを言ってないかなど,人の目を気にしているだけのケースがほとんどです.実は頭の中では,様々なことを考えていたりします.そしてそれが非常によい考えだったりするケースもたびたびあるわけです.

 ファシリテーション能力は,このように参加者からも意見を引き出し,有意義な議論の場にする,そして皆が納得する結論・結果に導く力が必要になり,非常に高度なスキルになります.

 これがうまいと仕事もスムースに進められますし,自分の思い描いたシナリオ通りに進めることができます.

対人関係スキル

 また,ファシリテーション力には,対人関係スキルも含みます.対人関係スキルとは,コミュニケーション能力です.有益な会議となるように発言者を指名したり,発言しやすい雰囲気作りも,この対人関係スキルになります.議論が白熱した際にも冷静を保ち建設的な発言がされる様に誘導することも必要です.また、目標となる結果を導くためには、発言の訂正なども求める必要があるなど、常に冷静な対応が求められながらも相手の意図を組み対応していく力量が求められます.

プログラミング力,及びプログラミング的思考力

プログラミング力

 変数,クラス,オブジェクト指向,ポインター,順序,反復,分岐などプログラミングに必要な要素が様々あります.仕事でどのような言語を扱おうとも考え方はだいたい同じです.当然文法やライブラリ等は言語により全く違うものですから,都度学ぶ必要があります.しかしベースの理解があれば,あとはライブラリの説明サイトみたりすればだいたいできます.

 一方で,設備の制御は,PLC(ラダープログラム)で実装することがほとんだと思います.ラダープログラムと高級言語(C#やJavaなど)とでは,まったく違いますが,順序,反復,分岐など考え方は共通だと考えています.従って,まずベースとして高級言語を理解することがお勧めです.(ラダープログラムは働き始めてからでないと出会わないものだし,働き始めてから学ぶことが一般的)

 更に,近年では,DXという言葉も流行しており,生産技術職もIT技術が求めれらる場面が多くなっていると考えます.

 プログラミングを勉強する場合,何がよいかという話になると思いますが,個人的にはC#かJavaがよいと考えています.よくPythonが紹介されますが,確かに他の言語に比べると比較的容易に触れます.コンパイル不要のスクリプト言語なので,書いてすぐ実行,書いてすぐ実行が簡単にできます.また機械学習等のライブラリも豊富なため,AIやデータ分析業務をするならPythonがよいです.が,王道としては,Javaかなと思います.オブジェクト指向は概念として習得しておきたいです.JavaをやっていればPythonはなんて楽なんだと感じるほど,Pythonは後から必要になったタイミングでよいです.

プログラミング的思考力

 プログラミング的思考とは,「自分が意図する一連の活動を実現するために,どのような動きの組合せが必要であり,一つ一つの動きに対応した記号を,どのように組み合わせたらいいのか,記号の組合せをどのように改善していけば,より意図した活動に近づくのか,といったことを論理的に考えていく力」と文科省が定義しています.

 プログラミング的思考は,論理的思考の一部として考えられます.論理的思考の中でも,①目的達成のために手段の「効率」や,②大きな問題があった時にそれを細かく分解して小さな問題にして,小さな問題の解決策を考えてから結合すると,大きな問題が解決できるという分割統治法の考えがプログラミング的思考です.

  • 論理的思考:
    • 目的達成に向けて,抜け漏れなく,筋道を立てて手段を考えること.
  • プログラミング的思考:
    • 目的達成に向け,効率を重視して最適な解決策を考えること.
    • 大きな問題は小さな問題に分割して,その全てを解決することで最終的大きな問題を解決すること.

 プログラミング的思考は,例えば,一軒家をつくるときに、どういった手順で作れば最短でつくれるのか試行錯誤し組み合わせる,このような考え方が「プログラミング的思考」だったり,問題が発生した場合,どのような要素に分ければよいか,そしてそれら要素はどのようにすれば解決できるのか考えます.

 プログラミングを学ぶことは,直接的に制御プログラムをつくったりシステムをつくることと,間接的に,プログラミング的思考のベースを構築することの2つメリットがあります.プログラミングは若い内に習得しておかければ,なかなか身に付きません.それは,プログラミングは一定期間集中して取り組み必要があるにも関わらず,ある程度の年齢になると業務的に身に付ける時間が取れない,かつ私生活においてもライフステージが変わると,家庭にもコミットする必要があるためです.(家庭を犠牲にできる,もしくは独身であれば問題ないかと)

 プログラミングだけは,早めの習得をお勧めします.

英語

 海外工場の設立や生産現場に外国籍の同僚がいることは一般的です.ビジネスレベルまでは求められることはない場合でも基本的な読み書きレベルは必要です.メールしたり,会議したり,様々な場面があります.

 また海外では,より人間関係が重要になってきます.日本だと,友達は友達,仕事の同僚は同僚と分けて考えるケースが多と思いますが(会社内の繋がりは重要視されてはいますが,友達レベルの本音トークまでできないと思います.愚痴は言うにしても),海外だと仕事の同僚=友達みたいなケースも多いです.みたいな堅苦しい話もありますが,単純に,海外のメンバーと英語で流暢にコミュニケーション取れた方が楽しいです.

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