生産技術の海外出張ってどんな感じ!?
そんな疑問に,生産技術職の筆者がお答えします!
社会人になって,海外出張ってワクワクしますよね!プライベートな海外旅行とはまた違った楽しみがあります.筆者は学生時代に1回しか海外旅行行ったことがなく,海外出張というものにちょっと憧れもありました.
ただ,生産技術の海外出張は,テレビで見るようなスーツを着てビジネス街を闊歩する,いかにもビジネスマンという感じではないことは最初に言っておきます.
もっと生活感のある感じです.仕事も生活も.
それではレッツゴー!
出張の種類と期間
さて,生産技術職の筆者だと,以下のよう海外出張がありました.
- 海外メーカーとの打ち合わせや試運転
- 海外工場への生産ライン建設業務(SV出張)
- SV:スーパーバイザー:設備据え付けや試運転を指導する人
- 海外で開催される展示会への参加
他にもあるかと思いますが,大きく分けるとこんな感じかなと思います.
海外メーカーとの打ち合わせや試運転
設備調達サプライチェーングローバルな状況ですから,海外メーカーから設備を調達することも当たり前にあります.
もちろん会話やメールは英語ですから,多少は英語できるようになっておきましょう!
調達する設備メーカーのある国に出張し,調査や引き合い(見積依頼),設計仕様のすり合わせ,発注後の製作管理,試運転などにより,度々そのメーカーへ出張することになります.
引き合い
自社で必要な設備仕様を準備し,設備メーカーへコンタクトをとります.
設備メーカーとの会議では,まず海外メーカから自社の説明がされることが多いです.どんな設備が得意で,こんな実績がある会社です,みたいな感じです.次に,こちらが要求する設備仕様や工程(納期)を説明します.技術的なポイントの議論や,できそうかできなさそうかのヒアリングや,納期に間に合うかどうかなど,ざっくりした感触を話します.このような形で引き合いし,設備メーカーへ提案書の作成を依頼します.提案書作成後に,また次回会議となります.
設計/仕様のすり合わせ
設備メーカーの提案書をもとに,仕様,納期,価格,契約内容がOKと判断されれば発注することになりますが,発注後からは設備製作が開始されるため製作管理や詳細設計のために定期的に設備メーカーと会議します.
まずは進捗管理ということで,最初に決めた工程表通りに製作が進んでいるかを確認します.課題があれば課題も共有し対応策や対応期限も議論して決めます.
発注時点では,詳細部の設計や仕様が決まっていない部分もありますので,その部分を決めたり,製作スケジュールの調整や,テスト日程を決めたりします.
上記のような事を定期的に実施し,仕様通りの設備を,予定通りに納品できるように管理します.
メーカー試運転
設備が完成したタイミングで,設備のメーカー試運転を行います.このテストに合格することで品質OKという判断がされ,納品されることになりますので重要な作業ですので発注元も立ち会って行います.
設備の動作テストのため,この出張は1日で終わることはなく一定期間の滞在が発生します.とは言え,数日~1週間くらいかとは思います(設備の規模による)
事前に作成したテスト計画書にのっとって,順番にテストしていきます.基本的には全てスムースに完了ということはないです.何かしら課題や不具合などが発生しますから,課題を整理し対応方法,期限を決めて対応していきます.一番重要なのが製品品質が出るか出ないかですが,製品品質が出ないような課題が発生すると,今後の対処がかなり大変です.そんなこんなを乗り越え,テスト合格となって納品されます(実際は導入する工場へ出荷となる)
導入する工場への据え付け,工場試運転は,SV出張側の作業になりますので,後述します.
メーカー試運転が終わりそうなタイミングで,一旦のお疲れ様会ということで,設備メーカー側からごはんのお誘いもあるかもしれません(接待を受けるのは禁止!).
海外工場への生産ライン建設業務(SV出張:スーパーバイザー出張)
メーカー試運転がOKとなると納品となりますが,納品後は,実際に設備を導入する導入先の工場へ据え付けて,使えるように動作テストをする必要があります.
設備は,設備メーカから導入工場先へ出荷され輸送されます.
出荷された後は,工場側でその設備を受け取り,据え付け作業を行います.この据え付け作業の指導をするための出張をSV出張と言い,工場での据え付け作業と試運転作業を指導します.
具体的には,製作した設備メーカーから据え付け作業者及び試運転作業者に導入工場へ来てもらい,作業をしてもらいますが,その際に作業項目や手順,スケジュールなど,設備立ち上げに必要な事を指導します.
設備の据え付け工事から始まり,設備を試運転し,工場側へ操作説明等をし,設備を引き渡すところまでがSVの仕事になりますので,それなりの期間の出張になります.
- 1カ月:小規模の1設備程度
- 3カ月:複数設備
- 6カ月~12カ月:大規模な生産ライン
筆者の経験としては,1案件4カ月~6カ月程度です.
海外で開催される展示会への参加
あまり機会はないですが,ハイテク技術見本市SECのような,海外で開催される展示会に参加する場合の海外出張もあります.
会社を代表して見に行くので,後で会社への報告・共有をする必要があります.様々な情報を仕入れる必要があるため英語必須です!
英会話を習っておいた方がいいよ!
飛行機のクラス
海外出張と言えば,フライトがありますね!飛行機です.
会社によると思いますが,たいていはエコノミークラスと思います.ただ米国など長距離フライトになってくるとビジネスクラスOKだったりする会社もあると思います.
ビジネスクラスだと空港のラウンジだったり,飛行機内の席,機内食のグレードなどワンランク上いなるので嬉しいですね.
あと嬉しいことは,会社の仕事(出張)なのに,自分で所有するマイルポイントが貯められるということです.よく海外に行く方は,タダで相当マイルを貯めています.
アジア圏へのフライト
フライト時間が短いので,エコノミークラスが多いです.社内で偉い人なら違うのかな?そこは分からないですが,通常ならエコノミークラスだと思います.
北中米圏へのフライト
例えば米国まで行こうとすると13時間程度かかったりします.さすがにこの長時間をエコノミークラスはしんどいです(エコノミークラスも経験ありますがきつい、、、).
ビジネスクラスなら,座席を倒して寝れますし快適にフライトできます.筆者の場合,ビジネスクラスに乗ることになったら,乗った瞬間からワインなどアルコールを注文します!
JAL系(ワンワールド)とANA系(スターアライアンス)どちらも忘れずに
マイルカード(クレジットカード)を作っておきましょう!
海外SV出張
仕事
生産技術の仕事をしていると,どこかのタイミングでSV出張を経験すると思います.頻度としては,毎回SV出張する仕事ばかりの人から,めったにSV出張することありません,という方まで様々かなと思います.
個人的にはSV出張は,学生時代の部活の合宿や遠征みたいな感じで好きです.
筆者は約10年ほど生産技術職をしていますが,これまで約3カ国の工場建設を経験しています.
据え付けや試運転の指導する
現地での作業はやることも手順も明確(のはず)ですので,毎日,関係者で朝ミーティング,有ミーティングで,作業内容,進捗状況,課題,課題対応方法を共有・議論し予定通りに設備使用開始できるように業務を進めます.
- 作業の計画と,作業者への作業指示
- 計画書を作成し関係者と合意承認をとる
- 日割りの作業工程(作業項目と手順書)を作成し,関係者と合意承認をとる
- 毎日作業の指示と進捗管理をする
- 安全管理
- 設備据え付け工事や試運転は,やり方を間違うと危険を伴う作業です
- 作業手順をチェックし,危険な作業があれば手順を修正します.
- 課題が発生した時の対応方法検討と実行
- 問題が発生した場合,その対応方法を設備メーカーや関係者と議論し決めます
- 対応方法に費用が発生する場合はプロジェクトリーダへ確認と承認をとります
- 工程が遅延した場合のリカバリ方法検討と実行
- 工程遅延も,課題のひとつですので課題対応方法と同じ手順で決めます
- 関係各所との調整作業
- これは何かしら毎日発生しますので毎朝のミーティング等で共有し調整します
- 例えば,工程が1日遅れることで他設備の試運転に影響が出るため,日程をずらしてもらうなどです
以外と残業はしない
SV出張は中長期になることが多いため,基本的には定時で帰宅するような工程が引かれます.
(まあ納期がどうしても達成できない場合は,その限りではありませんが,,,)
準備をしっかりして,設備の動作確認も事前にできることはしっかり確認しておけば,そうそう現地で大ハマりすることはないと思いますので,日本国内で仕事しているよりも健全な勤務になるケースが多いです.
現地の業務は,やる事と手順は事前に決めた上で臨むため,あとはそれを順番に実行していくだけなので,しっかり準備できていれば毎日定時帰りできます.
ハマると大変!
ハマるという言葉.生産技術ではよく使います.沼にハマっているイメージで,抜け出せない感じですね.
現地での試運転で様々な不具合が発生し,まともに設備が動ないようなことが発生した時に,その不具合修正のために,人を増やして夜勤対応し,24時間対応でなんとか納期に間に合わせるということも必要になってきます.(人増やせば解決するのであればまだマシです)
予定通りに行かないことはよくありますが,想定以上に予定通りにいかない時は,ちょっと残業してリカバリする程度では済まず,上記のように追加費用(人件費など)をかけてでも,なんとかすることになり,かなり大変です.
現地をスムースにやり遂げるには,設計力や設備メーカーの管理能力など,総合的な力が必要です.
生産技術職はよく失敗します.細かい事も含めると数えきれないくらい失敗します.こんな風な設計すると,現場でこう困るんだな,とか失敗を繰り返し,都度学ぶことで,よい設計者に成長していくものです.
失敗しても次につなげる,そして失敗しても最終的には成し遂げる,失敗してもへこたれないマインドが必要です.どの業界どの職種でも同じですが,優秀な人は失敗経験も豊富です.ちゃんと自分の頭で考えてトライしている証拠でもあります.
段取り八分ですね
現地メンバーとの交流
設備据え付け作業や,工事は現地の工事会社や、工場の現地メンバーと一緒に仕事をします.
信頼関係を作って一緒にうまくやり遂げましょう!
現地の生活
やはり海外のSV出張で一番面白い部分は,通常の現地生活だと思います.海外旅行では行かないような場所に工場はあるため,本当に現地の生活や文化に触れることができます.
交通手段
出張先の宿泊ホテルがどのような立地にあるかにもよりますが,たいていは下記の通りだと思います.
- 電車
- バス
- タクシー
場所によっては,電車なんて近くにないよと言うところもあると思いますので,その場合はタクシーがメインかなと思います.
海外旅行よくいかれる方はご存じだと思いますが,タクシーの運転手も危ない人がいるケースもあるので注意しましょう!
レストラン
日本語が一切通じない環境で,現地の言葉(英語なら助かるが)も喋れくとも現地のレストランへ行ったり,行ったレストランが当たりか外れかなども
よくテレビでCAさんは様々な空港に行くため,各空港近くのグルメを皆で共有,代々受け継いでくみたいなことをやってますが,これに近いですね.どの業界もやってると思います!
スーパー
一番現地を感じるのはやはりスーパーです.売っている食材や,一般層の生活ぶりが垣間見ることができます.
スーパーでお土産を買うのもありですよ!
休日は観光
どんな場所でも観光地はあるので,宿泊しているホテルの近辺で観光地がないか調べたり,現地工場の人にお薦めの場所を聞いたりしていきます.
世界的には有名でなくともローカルでは有名な観光地はたくさんあるので,まさに現地の人が行くような観光地に行くのも面白いです!
現地の人が知っているあやしい場所
最後に,現地の人だから知っているあやしい場所というのもあります.ちょっと危険な場所かもしれませんが現地の人が言う注意点を守れば大丈夫?まあ危険な場所は行かない方がベターです.仮にも仕事で行っているため,何かあったら問題にもなります.
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